推し活で借金をしてしまった……返済が難しい場合の相談先は?
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好きなアイドルや俳優、キャラクターなどを応援する、いわゆる「推し活」をしている方のなかには、金銭面で悩んでいるというケースも少なくありません。
自分の収入の範囲内で推し活を続けているのならよいですが、チケット代、グッズ代、遠征費などで出費がかさむため、借金をしてまで推し活を続ける方もいます。推し活を続けるうちに借金の返済が困難になってしまった際は、どうすればよいのでしょうか。
本コラムでは、推し活での借金の返済が難しくなった場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。
1、推し活は借金をしやすい?
推し活とは、どのような活動なのでしょうか。また、推し活をしている方は、どのような理由で借金をしてしまうのでしょうか。
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(1)推し活とは
推し活とは、自分が推しているアイドル、俳優、キャラクターなどを応援したり、愛でたりする活動のことをいいます。
代表的な活動としては、CDやグッズの購入、ライブコンサートやイベントへの参加、ライブDVDや配信サイトでの動画鑑賞、ゆかりの場所を訪れる聖地巡礼などが挙げられます。
SNSなどで知り合った仲間などと一緒に推し活を楽しむ、という方も増えてきています。 -
(2)推し活が借金を作ってしまいやすい理由
推し活のために借金を作ってしまう理由としては、2つの事柄が挙げられます。
- ① 遠征費やグッズ代などにお金がかかる
推し活でライブコンサートやイベントに参加するためには、チケットの購入、交通費、宿泊費などのお金が必要です。また、推しているアイドル、俳優、キャラクターなどのグッズが販売されれば、それらの購入費用がかかります。
このように、イベントの開催やグッズの販売時期・頻度によって毎月多額の費用を支出することになると、手持ちのお金が不足し、借金をしてしまいます。 - ② 推し活がエスカレートしてしまう
自分の推しているアイドル、俳優、キャラクターを応援したいという純粋な気持ち以外にも、少しでも推しに気に入られたいという思いや日々のストレスの発散、承認欲求を満たすために推し活にはまっていく方がいます。
そうして、借金をしてまでお金をつぎ込むような形でエスカレートしてしまうケースも少なくありません。
- ① 遠征費やグッズ代などにお金がかかる
2、借金を返済できない場合に生じる不利益とは
借金を返済できない場合には、下記の不利益が生じます。
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(1)遅延損害金の発生
遅延損害金とは、返済期日に支払いができなかった場合に課されるペナルティーの一種です。
支払いが遅れた金額に対して、一定の利率で計算した遅延損害金が課されますが、遅延損害金の利率は、借入をしたときの利息よりも高めに設定されています。
そのため、返済できない期間が長くなればなるほど、遅延損害金の額は膨らんでいくことということに注意が必要です。 -
(2)ブラックリストに掲載される
借金の返済ができない状態で一定期間が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。これがいわゆるブラックリストに掲載された状態です。
ブラックリストに掲載されてしまうと、新規の借入や、クレジットカードの新規契約ができなくなり、スマートフォン端末の分割払いでの購入もできなくなってしまいます。 -
(3)内容証明郵便による一括請求
借金を返済できない状態が2~3か月続くと、債権者から内容証明郵便で、借金の残額および遅延損害金の一括返済を求める通知が届きます。
分割での返済ができない状態であるにもかかわらず、一括返済を求められても対応できない方がほとんどでしょう。 -
(4)支払督促や訴訟提起
債権者からの一括請求を受けて返済ができないと、債権者は、裁判所に支払督促の申し立てや訴訟提起を行います。支払督促の申し立てや訴訟提起がなされると、裁判所からその旨の書面が届きますので、それによって法的手段に移行したことを知ることが可能です。
借金をした事実に争いがなければ、基本的には、債権者の言い分どおりの判決が言い渡されます。 -
(5)強制執行による差し押さえ
支払督促や判決によって債務名義を得た債権者は、強制執行を申し立て、債務者の財産の差し押さえを行います。
債務者の給料が差し押さえられてしまうと、職場に借金の事実が知られてしまいますし、預貯金が差し押さえられてしまうと、生活が苦しくなるなどのリスクが生じてしまうでしょう。
3、推し活で作った借金が返せない場合の対処法
推し活で作った借金が返せない場合には、以下のような対応が必要になります。
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(1)債権者に連絡する
借金の返済が難しくなったときは、すぐに債権者に連絡をするようにしましょう。債権者によっては、分割払いの相談や支払期限の延長などに応じてくれることもあります。
借金の返済ができない状態を放置していると、最終的に、強制執行によって債務者の財産が差し押さえられてしまいます。このような状態になると、話し合いでの解決は難しくなりますので、早めに債権者に連絡することが重要です。 -
(2)毎月の収支を見直す
返済ができないからといって、別の債権者から借入をして返済に回すという対応では、根本的な解決にはなりません。今後も安定して返済を続けていくためには、まず毎月の収支を見直して、返済ができない状況を改善していくことが必要です。
推し活によってお金を使いすぎたことが借金の原因である場合には、毎月の推し活で使うお金を減らすことによって、劇的に収支状況が改善する可能性があります。 -
(3)債務整理を検討する
自分の力では借金問題を解決できないとき、弁護士に相談をして債務整理を行うことがおすすめです。債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生の3つの方法があります。
- ① 任意整理
任意整理とは、債権者との交渉により、返済方法の変更、将来利息のカット、遅延損害金の減免などを認めてもらう方法です。
任意整理は裁判所を利用しない手続きですので、特定の債権者を除外して債務整理を進めることができます。そのため、保証人に迷惑をかけたくない、自動車ローンが残っている車を手元に残しておきたいなどの希望がある場合には、任意整理で解決できる可能性があります。
ただし、任意整理では、次に紹介する自己破産や個人再生のような借金の大幅な減免効果は期待できません。 - ② 自己破産
自己破産とは、裁判所から免責許可決定を受けることにより、すべての借金の返済義務を免除してもらうことができる方法です。
自己破産を利用すれば、基本的にはすべての借金をゼロにすることができますので、押し活による借金問題の根本的解決が可能です。ただし、自己破産を利用する際には、一定金額以上の財産をすべて手放さなければならないといったデメリットもあります。 - ③ 個人再生
個人再生とは、裁判所から再生計画案の認可を受けることによって、借金を大幅に減額させそれを原則3年で分割返済していくことができる方法です。
個人再生は、自宅や車を手放すことなく借金の返済負担を軽減したいという方に向いている手続きとなります。ただし、返済を前提とする方法であるため、会社員であるなど安定した収入があることが条件です。
- ① 任意整理
4、借金の問題は弁護士に相談を
推し活による借金の問題は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)最適な債務整理の方法を提案してもらえる
借金問題を解決する任意整理、自己破産、個人再生は、いずれの方法にもメリットとデメリットがあるため、債務者の状況に応じた最適な方法を選択することが必要です。
推し活により多額の借金を負ったケースでは、浪費による借金にあたる可能性があります。浪費による借金は、破産法上の免責不許可事由に該当しますので、原則として自己破産で免責を受けることができません。
このように、推し活による借金には、さまざまな法的問題が潜んでいます。まずは、弁護士に相談して最適な債務整理の方法を判断してもらいましょう。 -
(2)債権者からの督促をストップできる
弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士から各債権者に対して、受任通知という書面を送付します。
受任通知が債権者に到達した後は、債権者から債務者への直接の取り立てが一時的に禁止されます。そのため、弁護士に依頼することで、債権者からの督促を一時的にストップできるという点がメリットです。
債権者から過酷な取り立てを受けている状況では、経済的再建に向けて行動することができません。安心して生活を送るためにも、まずは弁護士にご相談ください。 -
(3)債権者や裁判所とのやり取りを任せることができる
弁護士は、債務者の代理人として債務整理の業務を行うことができます。そのため、債権者や裁判所とのやり取りもすべて弁護士に任せることが可能です。
債務整理を適切に進めていくためには、知識や経験の豊富な弁護士によるサポートが不可欠ですので、弁護士に相談するようにしましょう。
5、まとめ
推し活ではチケット代、グッズ代、遠征費などで出費がかさみ、借金をしてまで推し活を続ける方も少なくありません。
ご自身の収入の範囲内であれば借金をしても返済は可能ですが、借金額が高額になると、ご自身の収入だけでは借金返済が難しくなることがあります。
推し活を理由に借金地獄に陥ってしまった場合には、弁護士による債務整理が必要です。債務整理をお考えの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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