不倫慰謝料の追加請求は可能? 請求できるケースとできないケース

2023年09月21日
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不倫慰謝料の追加請求は可能? 請求できるケースとできないケース

郡山市役所が公開する「戦後の婚姻件数と離婚件数推移」によると、令和3年に郡山市で離婚の届け出があった件数は527件でした。婚姻件数が1457件あったことから、約3組に1組が離婚していることになります。

夫婦が離婚に至る理由はさまざまですが、大きなきっかけのひとつに配偶者の不倫があるでしょう。不倫が発覚したときには、当事者である配偶者や不倫相手に対して、慰謝料を請求できるケースがあります。

2度目の不倫が発覚した際など、慰謝料請求をするのに回数制限はあるのかと疑問に思う方は少なくありません。

本コラムでは、不倫慰謝料の追加請求を行うことが可能なケースとできないケース、2度目の不倫が行われた際の慰謝料・違約金請求について、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。

1、不倫慰謝料の追加請求が可能なケース

配偶者や不倫相手に対する不倫慰謝料は、追加請求が可能なケースとできないケースがあります。以下では、不倫慰謝料の追加請求できるケースについて説明します。

  1. (1)配偶者が同じ相手と2度目の不倫をした

    配偶者の不倫が発覚した場合、配偶者や不倫相手と話し合いを行い、慰謝料の支払いについての示談をすることが可能です。もっとも、示談が成立した後も、不倫関係が解消されないまま続いていることがあります。

    このような示談成立後の不倫については、当初の示談で解決した問題とは別の問題として取り扱われるため、配偶者と不倫相手に対して、不倫慰謝料を追加で請求することができます。

  2. (2)配偶者が新しい他の相手と不倫をした

    不倫の示談成立後に、配偶者が別の相手と不倫を行うケースも考えられます。
    このような場合にも、配偶者と別の不倫相手に対して不倫慰謝料の請求が可能です。

2、不倫慰謝料の追加請求ができないケース

以下のようなケースは、不倫慰謝料を追加請求できないことがあるため、注意してください。

  1. (1)清算条項を定めていた

    不倫慰謝料の支払いについての合意が成立した際には、合意書を作成するのが一般的です。事案によって記載内容はさまざまですが、合意書のなかに「清算条項」が含まれている場合は、追加の不倫慰謝料を請求することはできません

    清算条項とは、当事者間の合意で取り決めたもの以外には債権債務がないことを確認する条項であり、紛争の蒸し返しを防止する目的で入れられる条項です。
    清算条項が定められている場合には、当初支払われた不倫慰謝料が相場よりも著しく低いものであったとしても、それ以上の金銭請求ができなくなります。

    なお、清算条項は、あくまでも示談成立時までの事実関係を前提としたものです。そのため、示談成立後に新たな不貞行為があれば、清算条項を定めていたとしても不倫慰謝料の請求を行うことができます。

  2. (2)示談中に継続している不倫

    不倫発覚後は、不倫相手との関係を終わらせるのが一般的です。しかし、なかには不倫が発覚したにもかかわらず、隠れて関係性を継続している人もいるようです。

    示談が成立した場合、慰謝料支払いの合意時点までの不貞行為を対象にして慰謝料の支払いが行われます。そのため、示談中に不倫を継続していたという事情があったとしても、基本的には、当初の不倫慰謝料の支払いですべて解決済みのものとして扱われます。したがって、示談成立後に、不倫慰謝料の追加請求をすることはできません。

    もっとも、示談中に継続して不倫をしている場合は、示談成立後も不倫関係を続けたままであることが多いため、示談成立後の不倫を対象に追加の不倫慰謝料請求が可能となる場合があります。

  3. (3)夫婦関係が破綻していると認められる場合

    配偶者の不倫が発覚した場合には、配偶者のことを信頼することができず、離婚に向けての話し合いが進められることがあります。また、一緒の空間で生活することに嫌気が差し、別居し始める夫婦もいることでしょう。

    このように、離婚に向けての話し合いが進められていたり、別居期間が長期間に及んでいたりするケースでは、「夫婦関係が破綻している」と評価される可能性があります。

    「夫婦関係が破綻している」と評価された場合には、たとえ婚姻関係が継続していたとしても法的に守るべき利益がないと判断され、新たに不倫が行われたとしても、不倫慰謝料を請求できないということがあります。

3、「二度と不倫しない」という約束が破られたら慰謝料増額や違約金請求は可能?

当初の示談において、「二度と不倫しない」と約束を交わしたにもかかわらず、再び不倫をしていたとしたら、不倫慰謝料の増額は可能なのでしょうか。

  1. (1)違約金の取り決めがあれば「違約金」を請求できる

    最初の不倫で慰謝料の合意を得た際、作成した示談書に「違約金条項」が設けられていることがあります。

    違約金条項とは、示談成立後にルール違反があった場合に、示談書で定めた違約金を相手に請求できる条項のことです。不倫での示談書においては、「再度不倫をした場合には、違約金として○○万円支払う」といった内容の違約金条項が設けられることが一般的です。

    違約金は、法律上は「賠償額の予定である」とされています。
    そのため、違約金条項が定められていれば、慰謝料の請求者の側で具体的にどのような損害が発生し、どのような金額であるかを証明することなく、あらかじめ定めた違約金を請求することが可能です。

    2度目の不倫ともなれば、その悪質性も高いといえます。当初の不倫慰謝料の金額よりも高額な違約金額を定めていれば、2度目の不倫がなされた事実を証明することで、当初の不倫慰謝料よりも増額した金額を請求することができます。

  2. (2)違約金が高額である場合には減額される可能性も

    当事者同士で作成した示談書においては、「違約金として1000万円を支払う」といった高額な違約金条項が定められているものも見受けられます。

    違約金条項は、契約自由の原則から、基本的には当事者が自由に定めることができます。もっとも、あまりにも高額な違約金を定めた場合には、裁判所は違約金条項の一部を無効であると判断する可能性があるので、その点に注意が必要です。
    その場合には、一般的な相場に比べて不当に高額といえる部分については、違約金が減額される可能性があることにも留意してください。

4、不倫慰謝料の追加請求を弁護士に依頼する3つのメリット

不倫慰謝料の追加請求に関して、弁護士に依頼をすると以下のような3つのメリットがあります。

  1. (1)代理人となって相手との交渉ができる

    配偶者による不倫が発覚した場合には、不倫をした配偶者およびその相手に対して、不倫慰謝料請求を行うことが可能です。

    不倫慰謝料の請求は、まずは、当事者同士の交渉によって、金額や支払い方法などを決めていくことになります。しかし、不倫をされた被害者側としては、どうしても感情的になってしまうため、冷静に話し合いを進めることが難しい場合があるでしょう。

    そんなときには、弁護士に依頼をすることによって、相手との交渉をすべて任せることが可能です。弁護士であれば、代理人という立場から冷静に話し合いを進められるため、スムーズに不倫慰謝料の問題を解決することが期待できます。

  2. (2)適正な慰謝料を請求できる可能性が高まる

    不倫慰謝料の金額については、法律上の決まりがあるわけではなく、当事者同士の話し合いで自由に決められるものです。

    しかし、あまりにも高額な慰謝料を請求してしまうと、解決できるはずの問題がこじれてしまうことがあります。反対に、相場よりも不当に低い金額で合意をしてしまうと、本来得られるはずであった慰謝料をもらうことができない可能性もあります。

    このようなリスクを避けるためには、弁護士への相談がおすすめです。
    弁護士であれば、個別具体的な状況を踏まえた慰謝料の金額相場を熟知しているため、相場を踏まえた適正な慰謝料請求が可能となります。

  3. (3)調停や裁判もスムーズに進めることができる

    当事者同士の話し合いで解決することができない場合には、調停や裁判といった法的手段によって解決を図ることになります。このような手続きは、法律の知識や経験がなければ適切に進めることが難しいものであり、弁護士のサポートが不可欠です。

    弁護士に依頼をすれば、調停期日に同席してもらうことが可能なだけでなく、調停委員とのやり取りや調停で提出する書面の作成などを任せられるため、初めての調停であっても安心して臨むことができます。

    また、裁判になった場合は、弁護士が当事者に代わって裁判所に出頭するので、基本的には当事者の方が裁判所に出頭する必要はありません。裁判での複雑なやり取りについても、弁護士がすべて対応することが可能です。

5、まとめ

不倫慰謝料の合意をしたとしても、その後、配偶者が新たに不倫を行った場合や同じ不倫相手と再度不倫をしたような場合には、不倫慰謝料の追加請求をすることができます。

信頼していたはずの配偶者が不倫していたことで、混乱している方もいるでしょう。不倫慰謝料の追加請求の場面だけでなく、当初の合意の場面においても弁護士に依頼をしておけば、違約金条項などによって不倫慰謝料の追加請求をスムーズに実現することが可能です。

不倫慰謝料や離婚慰謝料の請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでお気軽にご相談ください。知見のある弁護士が親身になりながら、最適な結果に導けるよう、サポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています