夫婦喧嘩後に続く無視…離婚は可能? 話し合いはどうする?
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郡山市が公表している統計資料によると、令和3年の郡山市内の離婚件数は527件でした。郡山市では、平成14年の871件が戦後の離婚件数のトップですので、それと比較すると現在の離婚件数は減少していますが、それでも高い水準にあるといえるでしょう。
離婚を考えるに至る理由のひとつとして、夫婦喧嘩をきっかけに相手から無視され続ける、というケースがあります。仲直りをしようと話しかけても、無視されれば精神的なストレスが積もって「一緒にいる意味がない」と考える方もいるでしょう。
本コラムでは、夫婦喧嘩などが発端で起こる無視を理由に離婚する方法や、離婚に向けた話し合いの進め方などについて、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。
1、夫婦喧嘩や無視を理由に離婚はできる?
そもそも、夫婦喧嘩や無視されたことを理由に離婚することができるのか、疑問に思う方もいるでしょう。最初に、離婚に関する基本事項を説明します。
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(1)話し合いであれば離婚は可能
夫婦の離婚でもっとも多い方法は、「協議離婚」という方法です。協議離婚は、夫婦が離婚に合意し、離婚届を市区町村役場に提出することで離婚が成立します。
協議離婚であれば、離婚にあたって特別な理由は必要ありませんので、夫婦喧嘩や無視されるという理由であっても、離婚することは可能です。
また、協議離婚と同様に話し合いで離婚をする方法として「離婚調停」もあります。
これは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚を成立させる方法で、家庭裁判所の裁判官や調停委員が関与してくれますので、スムーズな話し合いが期待できます。離婚調停でも離婚理由は問われないため、夫婦喧嘩や無視という理由でも離婚は可能です。 -
(2)話し合いで離婚できない場合には離婚は困難
協議離婚や離婚調停が成立しない場合には、最終的に「離婚裁判」という方法により離婚を進めていきます。これは、協議離婚や離婚調停とは異なり、裁判所が離婚を判断する手続きになりますので、夫婦の合意がなくても離婚は可能です。
ただし、離婚裁判では、以下のような法定離婚事由が必要になります。- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
そのため、単なる夫婦喧嘩や数日間無視されているという事情だけでは、上記の法定離婚事由のいずれにも該当せず、裁判上の離婚は困難といえるでしょう。
もっとも、夫婦喧嘩の際に暴力を振るわれたり、日常的に無視されたりするなどのモラハラを受けているようなケースでは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、裁判上の離婚が認められる可能性があります。
2、無視されて離婚の話し合いができないときの対処法
2章では、「相手から無視されて、離婚に向けた話し合いができない」という場合の対処法を3つご紹介します。
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(1)弁護士を話し合いの代理人に立てる
当事者同士の話し合いでは、どうしても感情的になってしまい、夫婦喧嘩をしたり、無視されたりして離婚に向けた話し合いが進まないケースも少なくありません。
このようなケースでは、弁護士を話し合いの代理人に立てることがおすすめです。弁護士が相手と交渉をすれば、相手も感情的にならずスムーズに話し合いを進めることができるでしょう。
また、離婚の話し合いを無視している相手であっても、弁護士が窓口になることで、話し合いに応じる可能性が高くなります。 -
(2)別居状態で連絡を無視されているなら内容証明郵便を送る
相手と別居状態で連絡を無視されており、離婚に向けた話し合いすらできないという場合には、内容証明郵便を送ることを検討してみましょう。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に対して、どのような内容の文書を送ったのかを郵便局によって証明する郵送方法です。
メールや普通郵便では無視されるケースでも、内容証明郵便という特別な形式の郵便が届けば、無視を続けることができず何らかの反応が得られる可能性があります。このような内容証明郵便は、弁護士に依頼して、弁護士名義で送るのがより効果的です。 -
(3)当事者だけでは夫婦喧嘩になるようなら離婚調停の申立てをする
当事者だけの話し合いでは解決が困難という場合、弁護士を交渉の代理とするほかに、家庭裁判所の離婚調停を利用するという方法があります。
離婚調停では、当事者は直接顔を合わせることなく、家庭裁判所の調停委員を介して、お互いの意見や主張をします。夫婦の間に第三者が関与することで、お互いに冷静になることができ、スムーズな話し合いを進めることが可能です。
ただし、離婚調停の申立てをしても、相手方が調停に出席しなければ、話し合いを進めることができず、調停は不成立になります。その場合には、協議離婚または離婚裁判を検討しなければなりません。
お問い合わせください。
3、相手に無視される今、離婚に向けて考えておくべきこと
夫婦喧嘩や無視されることを理由に離婚をお考えの方は、離婚を切り出す前にしっかりと準備を進めておきましょう。
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(1)本当に離婚したいのかを冷静に判断する
夫婦喧嘩をして無視されるからといって、そのときの感情で離婚を決めてはいけません。まずは気持ちを落ち着かせて、冷静になってから本当に離婚をしたいのかを考えてみるとよいでしょう。
相手との関係修復を希望する場合には、朝のあいさつなど少しずつコミュニケーションをとるようにしましょう。コミュニケーションが増えてくれば、家庭内別居の状態から徐々に夫婦の会話も増え、元の夫婦関係に戻るきっかけがつかめるはずです。 -
(2)離婚する場合の条件をどうするのかを考える
冷静に考えた結果、離婚以外に選択肢はないという場合には、すぐに離婚を切り出すのではなく、どのような条件で離婚をしたいのかをじっくりと考えましょう。
離婚をする際には、養育費、親権、面会交流、婚姻費用、慰謝料、財産分与、年金分割などさまざまな条件を決める必要があります。感情的にならずに離婚に向けた話し合いを進めるためにも、希望する離婚条件は明確にしておくことが大切です。 -
(3)今後の生計や住まいの確保
離婚後は、夫婦は別々に生活することになりますので、自宅を出ていく場合には、どこに住むのかを早めに決めておきましょう。また、離婚後は自分ひとりで生活をしていかなければならないため、経済的不安を解消するには、今後の生計の見通しを立てておくことも大切です。
離婚後の住まいの確保や生計の見通しが立てば、離婚に向けて前向きな気持ちになることができます。
4、離婚について弁護士に相談するべき理由
夫婦喧嘩や無視されることを理由に離婚をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)相手との交渉を弁護士に任せられる
離婚に向けての話し合いをしようとしても、夫婦喧嘩になったり、無視されたりする状況では、離婚話を進めることすらできません。また、そのような夫婦関係だとお互いに顔を合わせて話し合いをすること自体にストレスを感じる方も多いでしょう。
このような場合には、弁護士に相手との離婚交渉を依頼するのがおすすめです。弁護士であれば、本人に代わって相手との交渉を行うことができますので、本人は直接顔を合わせて話し合いをする必要はありません。相手も弁護士が窓口になれば、話し合いを無視することができないため、離婚に向けた話し合いが進展する可能性が高くなります。 -
(2)調停や裁判に進む際にサポートしてもらえる
話し合いで離婚の合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てや離婚訴訟の提起をする必要があります。
離婚調停は、裁判所を介した話し合いの手続きですが、不慣れな環境で、調停委員を相手に自分の主張をしっかりと伝えられる人は多くはありません。離婚に至る経緯や希望する離婚条件を十分に理解してもらうためには、弁護士のサポートが重要です。
また、離婚訴訟になれば、法定離婚事由の有無によって離婚できるかどうかが変わってきます。夫婦喧嘩や無視という理由だけでは法定離婚事由には該当しませんので、裁判で離婚できるかどうかを判断するためにも、弁護士のアドバイスを受けましょう。 -
(3)離婚時の条件をしっかりと取り決められる
離婚にあたっては、財産分与や慰謝料、養育費など取り決めるべき条件がたくさんあります。それぞれ考慮要素や金額の相場などがありますので、法的な知見がなければ適切な離婚条件を導くことは難しいでしょう。
離婚後の経済的な不安を解消するためにも、有利な条件で離婚することが重要です。離婚問題の実績ある弁護士にサポートを受けるため、まずは状況を相談することをおすすめします。
5、まとめ
頻繁に夫婦喧嘩をする状況や相手から無視されている状況では、離婚を考えるのもやむを得ないといえるでしょう。しかし、いきなり離婚を切り出しても離婚に応じてもらえなかったり、不利な条件で離婚をしてしまったりするリスクがあります。
このようなリスクを少しでも軽減するには、自分ひとりで離婚手続きを進めるのではなく、離婚や男女トラブルの解決実績がある弁護士のサポートを得ながら進めていくことが大切です。
適切な条件で離婚したいとお考えの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでお気軽にご相談ください。納得のいく結果となるように、知見豊富な弁護士が最後までしっかりとサポートいたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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