キャバクラ通いをやめない夫と離婚は可能? 慰謝料の請求はできる?
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郡山駅前には、居酒屋やスナックをはじめとして、キャバクラ、クラブなどが入居するテナントビルが立ち並ぶ「駅前アーケード商店街」があります。郡山市を代表する歓楽街であり、多くの人が夜の街を楽しんでいます。
一方、夫がキャバクラ通いをしているというのは、妻としては決していい気持ちではないでしょう。頻繁にキャバクラに通うことで家計の経済状況を圧迫したり、キャバクラ嬢との不倫の疑いから夫婦関係に亀裂が入ったりすることで、離婚に発展するおそれもあります。
今回は、キャバクラ通いをやめない夫との離婚の可否、離婚を切り出す前にすべき準備について、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。
1、夫のキャバクラ通いを理由に離婚できる? 法定離婚事由とは?
夫のキャバクラ通いを理由に離婚することはできるのでしょうか。以下では、キャバクラ通いを理由に離婚する方法と裁判離婚で必要になる法定離婚事由について説明します。
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(1)夫のキャバクラ通いを理由に離婚する方法
夫婦が離婚する方法には、以下の3つの方法があります。
- ① 協議離婚:夫婦の話し合いによる離婚の方法
- ② 調停離婚:家庭裁判所の調停手続きによる離婚の方法
- ③ 裁判離婚:家庭裁判所の裁判手続きによる離婚の方法
ほとんどの夫婦は①の協議離婚によって、離婚をしています。協議離婚は、夫婦間の話し合いで離婚を決めるため、合意できれば、どのような理由であっても離婚は可能です。そのため、夫のキャバクラ通いが離婚理由だったとしても離婚することはできます。
②の調停離婚は、裁判所の調停手続きを利用した離婚の方法ですが、基本的には協議離婚と同様に話し合いの手続きになります。そのため、夫婦が離婚の合意に至れば、離婚理由を問われることはありません。
しかし、③の裁判離婚になると、民法が定める法定離婚事由がなければ離婚することはできません。そのため、裁判で離婚をする際には、夫のキャバクラ通いが法定離婚事由に該当するかどうかがポイントとなります。 -
(2)裁判離婚で必要になる5つの法定離婚事由とは?
裁判離婚で必要になる離婚事由には、法律上、以下の5つが定められています。
- ① 不貞行為
- ② 悪意の遺棄
- ③ 配偶者の生死が3年以上不明
- ④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由
夫のキャバクラ通いを理由に離婚をする場合、上記の法定離婚事由のうち、「① 不貞行為」「② 悪意の遺棄」「⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかが問題となります。
① 不貞行為
不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことをいいます。
夫がキャバクラに通っているというだけでは、不貞行為には該当しませんが、キャバクラ嬢との間で1回でも性行為があった場合には、不貞行為とされる可能性があります。
② 悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、正当な理由なく、同居・協力・扶助という夫婦の基本的な義務に応じないこといいます。
夫が頻繁にキャバクラに通うため家計が圧迫される状況になったり、キャバクラにはまり自宅にほとんど帰ってこない状況になったりした場合には、悪意の遺棄に該当する可能性があります。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由
その他婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻中の一切の事情から婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態に至っていることをいいます。
夫のキャバクラ通いが原因で長期間の別居が続いている場合や、キャバクラ通いが原因で夫婦関係が修復困難な状態になっている場合には、その他婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
2、離婚を切り出す前に考えておくべきこと
後悔のない離婚を実現するためには、離婚を切り出す前に、離婚に向けて以下のような準備をすることが大切です。
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(1)財産分与のための財産調査
財産分与とは、離婚時に夫婦の共有財産を清算することができる制度です。財産分与では、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産が対象になりますが、夫がどのような財産を保有しているかは、妻であっても正確には把握していないでしょう。
夫に対して財産の開示を求めても、素直に応じてくれない可能性がありますので、自分でも可能な範囲で相手の財産を調べておくとよいでしょう。 -
(2)養育費の相場の把握
養育費の金額は、夫婦の話し合いで決めることができますが、子どもの人数・年齢、夫婦の収入に応じた養育費の相場があります。
離婚後は相手から養育費をもらうことができるといっても、それだけでは生活していくのに十分なお金とはいえません。子どもと一緒に生活していくにあたってどのくらいお金が不足するのかを把握するためにも、養育費の相場を知っておくことが有効です。
養育費の相場は、裁判所が公表している養育費算定表を利用すれば簡単に把握することができます。 -
(3)親権獲得に向けた準備
子どもの親権を獲得しようと考えているのであれば、離婚を切り出す前から準備をしておく必要がります。特に、離婚前に夫と別居しようと考えているのであれば、子どもを連れて別居するべきです。
親権者の判断にあたって、監護の継続性が重視されますので、子どもと別々に暮らしていると親権獲得にあたって不利に働くおそれがありますので注意しましょう -
(4)離婚後の転居先の確保
離婚後は、夫婦は別々に生活することになりますので、自宅を出ていくのであれば、離婚後の転居先を確保しておく必要があります。
希望する条件の物件は、すぐには見つかりませんので、早い段階から調べておくとよいでしょう。
3、キャバクラ通いに対する慰謝料請求の可否と立証のポイント
キャバクラ通いをする夫に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。以下では、キャバクラ通いに対する慰謝料請求の可否と立証のポイントを説明します。
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(1)キャバクラ嬢と不貞行為の事実がない場合
夫とキャバクラ嬢との間に不貞行為の事実がない場合、不貞行為を理由として夫に対して慰謝料請求をすることはできません。
キャバクラに頻繁に通い、特定のキャバクラ嬢を毎回指名しているというだけでは不貞行為にはあたりません。 -
(2)キャバクラ嬢と不貞行為がある場合
キャバクラ嬢と不貞行為がある場合には、夫に対して不貞行為を理由とする慰謝料を請求することができます。
ただし、夫がキャバクラ嬢との不倫を否定している場合、妻の側で夫とキャバクラ嬢との不貞行為を証拠によって立証しなければなりません。
そのため、慰謝料請求の前提として、以下のような証拠が必要になります。- ラブホテルに出入りしている写真や動画
- 性行為をしている写真や動画
- 肉体関係があったことがわかるLINEやメールのやりとり
- 宿泊したホテルの領収証
- 探偵事務所の調査報告書
複数の証拠を組み合わせることで不貞行為が立証できることもありますので、できるだけ多くの証拠を集めておきましょう。
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(3)キャバクラ通いにより夫婦関係が破綻した場合
夫のキャバクラ通いにより夫婦関係が破綻したといえる場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しますので、夫に対して離婚慰謝料を請求することができます。
この場合も妻の側でキャバクラ通いが原因で夫婦関係が破綻したことを立証していかなければなりません。
証拠になるものとしては、以下のようなものが挙げられます。- 夫のキャバクラ通いの頻度がわかるカードの利用明細書
- 別居期間のわかる書類(賃貸借契約書、住民票など)
- 夫とのメールやLINEのやりとり
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(4)キャバクラ通いによって悪意の遺棄があった場合
夫のキャバクラ通いにより家計が圧迫されたという場合には悪意の遺棄を理由に離婚慰謝料を請求できる可能性があります。
その際に必要になる証拠としては、以下のようなものが挙げられます。- 家計の収支状況をまとめた家計簿
- 夫のキャバクラ通いの頻度がわかるカードの利用明細書
4、離婚や慰謝料請求の問題で弁護士ができること
キャバクラ通いをやめない夫との離婚をお考えの方は、弁護士に相談するのがおすすめです。
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(1)法的なアドバイスが受けられる
離婚にあたっては、慰謝料、財産分与、親権、養育費などさまざまな条件を決めなければなりません。これらの条件を適切な内容で取り決めるには、法的知識と経験が不可欠といえます。
不利な条件で離婚に応じてしまうリスクを避けるためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。弁護士から具体的な状況を踏まえた適切なアドバイスを得ることで、そのようなリスクを回避できるでしょう。 -
(2)証拠収集などのサポートが受けられる
夫のキャバクラ通いを理由に慰謝料請求をするには、夫の有責性を立証するための証拠を集める必要があります。
どのような証拠が必要になるかは具体的な事案によって異なりますので、ご自身で判断できないときは、まずは離婚問題の実績がある弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士であれば、状況に応じた適切な証拠をアドバイスしてくれますし、手元の証拠だけでは足りないという場合には、必要な証拠収集のサポートもしてくれます。 -
(3)相手との交渉を任せられる
夫と顔を合わせて離婚の話し合いをすること自体ストレスに感じる方は、弁護士に相手との離婚交渉を任せるとよいでしょう。
弁護士に離婚交渉を依頼すれば、ご自身で対応する必要がありませんので、離婚に関するストレスを大幅に軽減することができます。万が一、交渉が決裂したとしても、引き続き離婚調停や離婚訴訟を依頼することができるため、安心して任せることができます。
お問い合わせください。
5、まとめ
夫がキャバクラ通いをしているというだけでは、慰謝料請求は難しいですが、不貞行為や悪意の遺棄などに該当する事情がある場合には、離婚や慰謝料請求ができる可能性があります。
ご自身の状況が離婚や慰謝料請求が可能な状態であるのか判断してもらうために、まずは弁護士に相談してみましょう。キャバクラ通いをやめない夫との離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています