風評被害の原因とは? 風評被害の対策も解説

2024年06月04日
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風評被害の原因とは? 風評被害の対策も解説

2021年度に福島県郡山市に寄せられた民事相談は1298件でした。風評被害の原因にはさまざまなパターンがあり、そのすべてを未然に防ぐことは困難です。

風評被害に対してはコンプライアンス研修やガイドラインの策定などで可能な限り事前対策をしつつ、実際に風評被害を受けてしまったら、弁護士に相談しながら適切に対応しましょう。

本記事では風評被害について、原因・対処法・事前対策などをベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。

出典:「郡山市統計書2022(令和4)年版」(郡山市)

1、風評被害の原因とは

風評被害の原因には、さまざまなパターンがあります。一般消費者の投稿などがきっかけとなるケースもあれば、債権者や株主などのステークホルダーが発端となるケースも想定されます。また、内部の役員や従業員が悪評を流しているケースも見られます。

たとえば過去には、以下のような風評被害事例が報道されました。

  • 銀行がつぶれるとのデマ情報が流された結果、多数の利用者が銀行口座から預金を引き出した。
  • 特定の店舗においてアルバイトが蛮行を働いた結果、同一チェーンの別店舗に対しても誹謗中傷が行われた(いわゆる「バイトテロ」)。
など


風評被害は、どのような会社であっても受ける可能性があります。そのため、できる限り事前に対策を練り、実際に風評被害が発生したら迅速に対応できる体制を整えておきましょう。

2、風評被害を受けた場合の対処法

風評被害が発生した場合は、被害を最小限に抑えるために迅速な対応を行わなければなりません。

風評被害の原因が社外にあるか社内にあるかによって、会社としてとるべき対応は異なります。

  1. (1)社外に風評被害の原因がある場合の対処法

    SNS上で根拠のない誹謗中傷が行われ、それが拡散されて炎上しているなど、風評被害の原因が社外にある場合には、以下の流れで対応しましょう。

    1. ① 事実関係を確認する
      まずはどのような投稿などが原因で、どのような風評被害が発生しているのかを確認します。幅広いウェブサイトなどから情報を収集して、迅速に風評被害の全体像を把握することが大切です。

    2. ② 会社としての対応状況や見解を発信する
      ステークホルダーの信頼を維持・回復するためには、タイムリーに情報発信を行うことが大切です。会社としての対応状況や、風評被害に対する会社の反論などの公式見解を随時発信しましょう。

    3. ③ 削除請求・損害賠償請求・刑事告訴を行う
      誹謗中傷やデマ情報の投稿については、サイト管理者に対して削除請求を行いましょう。削除に応じない場合は、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てることも考えられます。

      また、誹謗中傷やデマ情報によって被った経済的被害については、投稿者に対して損害賠償を請求しましょう。投稿者が匿名である場合は、サイト管理者やインターネット接続業者に対して発信者情報開示請求を行えば、投稿者の個人情報の開示を受けられる可能性があります。

      また、悪質な誹謗中傷については、投稿者の刑事告訴も検討すべきです。刑事告訴は、警察署などに告訴状を提出して行います。
  2. (2)社内に風評被害の原因がある場合の対処法

    アルバイトの問題行動が拡散されて炎上する(いわゆる「バイトテロ」)など、風評被害の原因が社内にある場合は、以下の流れで対応しましょう。

    1. ① 事実関係を確認する
      風評被害の原因が社内にある場合でも、社外に原因がある場合と同様に、事実関係を正確に確認することが大切です。
      誰が悪評の発信源であるのか、どのような虚偽情報が出回っているのかなどを、社内資料の確認や関係者に対するヒアリングなどを通じて把握しましょう。

    2. ② 会社としての対応状況や見解を発信する
      ステークホルダーに対するタイムリーな情報発信は、風評被害の原因が社内にある場合でも重要です。ステークホルダーの不安を払拭(ふっしょく)できるように、会社としての対応状況や、風評被害に対する会社の反論などの公式見解を随時発信しましょう。

    3. ③ 懲戒処分を行う
      風評被害を拡散させた従業員に対しては、懲戒処分を検討しましょう。
      懲戒処分の重さは、従業員の行為の性質・態様に応じた程度にとどめる必要があります。過度に重い懲戒処分を行うと、懲戒権の濫用として無効となることがあるので注意が必要です(労働契約法第15条)。

    4. ④ 再発防止策を講じる
      社内に端を発する風評被害については、従業員への規律を強めることである程度予防できます。従業員による不適切な行為が発生した経緯を検証した上で、同じような形で風評被害が再度発生しないように、効果的な再発防止策を検討・実施しましょう。

3、風評被害の事前対策例

社外で発生する風評被害は防ぎようのないケースが多いですが、社内に原因がある風評被害については、従業員に対する規律を強化することが予防策となります。具体的には、SNS利用のガイドラインを策定することや、従業員向けのコンプライアンス研修を行うことなどが挙げられます。

  1. (1)SNS利用のガイドラインを策定する

    従業員が所属する会社名を公表したSNSアカウントを利用している場合、そのアカウントの不適切な投稿が原因で、会社にまで誹謗中傷が及んでしまうケースがあります。

    プライベートなアカウントであっても、所属する会社名を出している場合や、明らかに会社名が分かるような表記をしている場合には、その言動は会社の従業員のものとして捉えられてしまいます。

    会社としては、従業員に対して規律あるSNSの運用を促すべきです。少なくとも、安易に会社名を公表しないことや、会社を批判するような内容を投稿しないことなどを、SNS利用のガイドラインにおいて定めておくとよいでしょう。

  2. (2)従業員に対してコンプライアンス研修を行う

    従業員のSNSの利用などについて、従業員のコンプライアンス意識を高めるためには、定期的にコンプライアンス研修を行うことが効果的です。

    SNSの運用についても、会社に風評被害をもたらすような投稿を避けるべきことや、そのための留意点などをコンプライアンス研修に盛り込むとよいでしょう。

4、風評被害について弁護士ができること

風評被害対策や、実際に発生した風評被害への対応については、弁護士がさまざまな観点からサポートを行っています。

風評被害について弁護士ができる主なサポートは以下のとおりです。

  1. (1)風評被害への対策・対応のアドバイス

    弁護士は、クライアント企業の状況に合わせて、風評被害への対策や対応に関するアドバイスを行います。発生しやすい風評被害の種類を見極めた上で、会社として割けるコストや労力などを踏まえつつ、適切な風評被害への対策・対応をオーダーメードにご提案いたします。

  2. (2)風評被害への代理対応

    誹謗中傷投稿の削除請求や、風評被害を発生させた加害者(従業員や匿名投稿者など)の責任追及については、弁護士が会社の代理人として対応いたします。

    たとえば問い合わせフォームを通じた投稿削除請求、裁判所に対する投稿削除の仮処分申立、匿名投稿者を特定するための発信者情報開示請求、損害賠償請求など、風評被害を回復するためのさまざまな対応を行います。また、刑事告訴をしたい場合には、告訴状の作成などをサポート可能です。

    弁護士はあらゆる観点から、風評被害の回復に全力を尽くします。相手方との交渉や法的手続きなどの対応に要する労力が大幅に省ける点も、弁護士にご依頼いただくことのメリットです。

  3. (3)従業員研修の講師

    従業員向けにコンプライアンス研修を実施する際には、弁護士が講師を務めることもできます。

    弁護士は、コンプライアンスや紛争対応に関する実務経験を踏まえて、どのような原因でコンプライアンス違反が生じやすいのか、実際に違反が生じた場合にはどのようなリスクがあるのか等の点について、従業員向けに分かりやすく解説します。

    風評被害のきっかけになり得る不適切な行動などについても、弁護士が具体的な事例を交えて説明し、従業員が自らを正しく律することができるようにサポートいたします。

5、まとめ

風評被害については、実際に発生する前に適切な対策を行うことが求められます。また、実際に風評被害が発生した際には、情報発信や削除請求・損害賠償請求などを含めて、被害を回復するために迅速かつ適切な対応を行わなければなりません。

風評対策や風評被害への対応については、誹謗中傷トラブルの実績がある弁護士に相談するのが安心です弁護士に相談すれば、クライアント企業に合った事前対策・対応の提案を受けることができます

ベリーベスト法律事務所は、企業のコンプライアンスや危機管理対応に関するご相談を随時受け付けております。

企業法務や誹謗中傷トラブルの解決実績を有する弁護士が、クライアント企業を風評被害のリスクから守るため、さまざまな観点からサポートいたします。毎月リーズナブルな料金からご利用いただける顧問弁護士サービスもご用意しており、ご契約いただければいつでも弁護士へのご相談が可能です。

風評被害への事前対策を行いたい企業や、実際に被害者となってしまいお困りの企業は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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