子どもが先に死亡、孫もいない場合の相続はどうなるのかを解説

2023年06月12日
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子どもが先に死亡、孫もいない場合の相続はどうなるのかを解説

郡山市が公表している統計資料によると、令和2年の郡山市内の死亡者数は3499人で、前年よりも61人増加しています。

人が亡くなると、遺産相続が発生します。このように、遺産相続が日々発生しているなかで、これから相続対策をお考えの方もいるでしょう。なかには、子どもが先に死亡して、孫もいないという方もいるかもしれません。

そのような場合には、誰が相続人になるのでしょうか。相続対策を考えるにあたっては、誰が相続人になるのか、相続人の法定相続分はどのくらいの割合なのかという、遺産相続に関する基本的なルールを押さえておくことが大切です。

本コラムでは、子どもが先に死亡しており、孫もいない場合の相続について、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。


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1、子どもが先に死亡、孫もいないときの相続|法定相続人と相続分

子どもが先に死亡し、孫もいない場合には、誰が遺産を相続することになるのでしょうか。

  1. (1)法定相続人の範囲と順位

    誰が遺産を相続することができるのかについては、民法に明確に規定されています。

    <遺産を相続できる法定相続人の範囲と順位>
    • 配偶者(常に相続人となる)
    • 子ども、孫など(第1順位)
    • 両親、祖父母(第2順位)
    • 兄弟姉妹(第3順位)


    被相続人(亡くなった方)の子どもが先に死亡しており、孫もいないような場合には、第1順位の相続人が不存在となりますので、第2順位以降の相続人に相続権が認められます

    被相続人の両親が健在であれば両親が相続人で、両親がすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人です。

    また、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となります。ただし、法律上の婚姻関係にある配偶者に限られるため、内縁の配偶者やすでに離婚している元配偶者の相続権は認められません。

  2. (2)相続人の法定相続分

    相続人の範囲や順位だけでなく、法定相続分についても、民法で規定されています。相続人の法定相続分は、誰が相続人になるのかによって異なる点に注意が必要です。

    被相続人の子どもが先に死亡しており、孫がいない場合の各相続人の法定相続分について、ケースごとに見ていきましょう。

    <相続人が配偶者のみ、両親のみ、兄弟姉妹のみのケース>
    • 相続人が配偶者のみ…配偶者がすべての遺産を取得します。
    • 相続人が両親のみ…父親が2分の1、母親が2分の1の割合で遺産を取得します。父親または母親の一方が亡くなっている場合には、他方がすべての遺産を引き継ぎます。
    • 相続人が兄弟姉妹のみ…兄弟姉妹がすべての遺産を取得します。兄弟姉妹が複数人いる場合には、人数で按分した割合が法定相続分です。

    <相続人が配偶者と両親のケース>
    • 配偶者が3分の2、両親が3分の1という法定相続分になります。父親と母親の両方が健在であれば、両親の法定相続分は、父親が6分の1、母親が6分の1という法定相続分です。

    <相続人が配偶者と兄弟姉妹のケース>
    • 相続人が配偶者と兄弟姉妹のケースでは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1という法定相続分になります。兄弟姉妹が複数人いる場合には、4分の1の割合を人数で按分することが必要です。

2、相続人が誰もいないときの遺産の行方

法定相続人が誰もいないケースでは、被相続人の遺産はどのように扱われるのでしょうか。

  1. (1)遺言書があれば遺言書によって指定された人

    被相続人が遺言書を残していれば、遺言書によって指定された方が遺産を引き継ぎます。

    遺言書を使えば、法定相続人以外の第三者にも遺産を渡すことが可能です。そのため、相続人が誰もいないという場合には、遺言書を作成するとよいでしょう。そうすることで、今までお世話になった方などに遺産を渡すことができます。

  2. (2)特別縁故者への財産分与

    遺言書がなく、相続人が誰もいない場合には、利害関係人(法律上の利害関係にある方)の請求により、相続財産管理人が選任されます。相続財産管理人によって、相続人の不存在が確定したら、特別縁故者は、裁判所に対して財産分与の申し立てをすることが可能です。

    特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた人、療養看護に努めた人、その他特別の縁故があった方のことをいいます。
    このような特別縁故者にあたる人は、裁判所に財産分与請求の申立てをすることで、被相続人の遺産の全部または一部をもらうことが可能です。

  3. (3)国庫に帰属

    相続財産管理人は、相続債権者や受遺者への弁済、特別縁故者への財産分与などを行い、それでも遺産に余りがある場合には、国庫に遺産を帰属させます。

    つまり、相続人が誰もおらず、誰にも遺産が渡らないケースでは、最終的に遺産は国のものになるのです。

3、子ども・孫がいない相続こそ遺言書が必要

子ども・孫がいない相続では、遺言書の作成が重要です。早めに遺言書の作成にとりかかるべき3つの理由をご紹介します。

  1. (1)遺産が国のものになってしまう

    前述のとおり、子ども・孫がおらず、ほかの相続人もいないような場合、最終的には、遺産は国庫に帰属されます。大切な財産が国のものになってしまうよりかは、お世話になった方の手に渡ってほしいと考える方も少なくないでしょう。

    そのような希望をかなえるためには、遺言書の作成が不可欠です。遺言書を作成することで、遺産を渡したいと考えている方に引き継ぐことが可能になります。

  2. (2)配偶者と血族相続人が不仲だとトラブルが生じる可能性がある

    子ども・孫がいない相続では、配偶者と両親、または、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースがあります。

    配偶者が血族相続人(両親、兄弟姉妹など)と円満な関係であれば、話し合いによって遺産を分けることにそれほど支障はないでしょう。

    しかし、配偶者と血族相続人が不仲である場合、遺言書がなければ、遺産分割協議が必要です。不仲な当事者同士が顔を合わせて話し合いをすることになれば、当然、何らかのトラブルが生じる可能性が高くなります。

    そのようなトラブルを招かないためにも、遺産の相続方法を遺言書で指定しておくことが大切です。それによって、相続人による話し合いが不要となり、配偶者と血族相続人との間のトラブルを回避することができます。

  3. (3)不動産の相続では遺産分けが困難になることがある

    不動産が遺産に含まれる場合にも、遺言書の作成が有効です。
    不動産は、現金や預貯金とは異なり、法定相続分に従ってきれいに分けることができる財産ではありません。

    そのため、不動産が遺産に含まれる場合には、遺産の分け方をめぐってトラブルになることがあります。そのような問題を回避するためにも、遺言書で不動産を相続する相続人を指定しておくとよいでしょう。

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4、遺産分割でのトラブルや遺言書の作成は弁護士にご相談を

遺産分割でのトラブルや遺言書の作成については、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)法的に問題のない遺言書の作成が可能

    遺言書は、遺産相続におけるさまざまなトラブルを回避でき、自分が希望する方に遺産を相続させられるため、生前の相続対策としては非常に有効な手段です。
    しかし、単に遺言書を作成すればよいのではなく、法的に有効な遺言書を作成しなければなりません。

    遺言者が亡くなった後は、遺言書以外に遺言者の意思を確認する手段がないため、内容や形式に不備のない遺言書を作成することが大切です。仮に不備があると、遺言自体が無効になってしまったり、希望する内容での遺産相続を実現したりすることができなくなってしまいます

    弁護士であれば、法的に有効な遺言書の作成ができるのはもちろんのこと、希望する内容を実現できるように法的なアドバイスすることも可能です。

    ひとりだけで遺言書を作成するのは、無効になるリスクがありますので、弁護士のサポートを受けながら進めていきましょう。

  2. (2)遺言執行者を弁護士に指定することで遺言内容の実現が可能

    遺言書の作成においては、同時に遺言執行者を指定することがおすすめです。

    遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後、遺言内容を実現するために必要な手続きを行う方のことをいいます。遺言の執行は専門的知識が必要になるため、相続人に任せてしまうと、スムーズな遺言内容の実現が困難になってしまうケースも少なくありません。

    遺言執行者を弁護士に指定しておけば、複雑な遺言内容であったとしても、確実に実現することが可能です。遺言書の作成を依頼した弁護士に、そのまま遺言執行者となってもらうこともできますので、積極的に検討してみましょう。

5、まとめ

子どもが先に死亡して、孫もいないというケースでは、生前に遺言書を作成するのが相続対策として有効です。

相続人が誰もいない状態だと、被相続人の遺産は国のものになってしまいます。お世話になった方などに確実に財産を渡すためにも、早めに遺言書の作成にとりかかりましょう。

不備なく遺言書を作成するには、弁護士のサポートが欠かせません。今後の相続に関してお悩みがある方は、まずは、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています