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遺言書は絶対か? 遺言書の効力と内容に従わなくても良いケース

2024年02月27日
  • 遺言
  • 遺言書は絶対か
遺言書は絶対か? 遺言書の効力と内容に従わなくても良いケース

裁判所が公表している司法統計によると、令和4年に福島家庭裁判所に申し立てのあった遺言書の検認事件は、201件でした。遺言書の検認とは、自筆証書遺言などが見つかった場合、家庭裁判所を介して相続人立ち会いのもとに遺言書を確認する制度です。

遺言書があれば、原則としてその内容に基づいて遺産が分けられます。しかし、それはあくまでも遺言書が有効であることが前提です。遺言書が法定の要件を欠いて無効になるようなケースでは、遺言書があったとしても絶対に従う必要はありません。

今回は、「遺言書は絶対か?」という問いに対して、遺言書の内容に従わなくても良いケースや遺言書を無効にする方法などについて、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言書は絶対か? 遺言書の種類と目的

以下では、遺言書の種類と遺言書を作成する目的について説明します。

  1. (1)遺言書の種類

    遺言書には、主に以下の3つの種類があります。遺言書が残されていた場合には、基本的には遺言書の内容に従う必要がありますが、それは、法定された様式で書かれていることが前提になります。

    ① 自筆証書遺言
    自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自筆で書いて作成する遺言書です。紙や筆記用具に条件はなく、証人も不要ですので、自筆証書遺言は、誰でも気軽に作成できる形式の遺言といえます。

    なお、自筆証書遺言は、遺言者の死後、家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

    ② 公正証書遺言
    公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言書です。公証人という専門家が遺言書の作成に関与してくれますので、遺言が無効になるリスクが低く、偽造や紛失を防止することができるなどのメリットがあります。

    ただし、公証人に支払う費用負担が生じたり、2人以上の証人が必要とされるなど費用と手間がかかったりする点がデメリットといえます。

    ③ 秘密証書遺言
    秘密証書遺言とは、遺言の内容は秘密にしたまま、遺言の存在のみ公証役場で認証してもらえる遺言書です。誰にも遺言書の内容を知られずに作成できるというメリットがありますが、公証人は遺言書の内容をチェックしませんので、遺言内容の不備により遺言書が無効になるリスクがあります。

    実務上は、自筆証書遺言や公正証書遺言を利用するのが一般的で、秘密証書遺言はほとんど利用されていません。
  2. (2)遺言書の目的

    遺言書を作成する目的には、以下のものがあります。

    ① 相続トラブルの防止
    遺言書がない場合には、相続人による遺産分割協議により遺産の分け方を決めていきます。しかし、遺産分割の場面では、各相続人の利害が衝突しますので、争いが長引くなどの相続トラブルが発生する可能性があります。

    また、不仲な相続人や行方不明の相続人がいるようなケースでは、話し合い自体ができず、遺産を分けられないということもあります。このような相続トラブルを防止するために、遺言書が活用されています。

    ② 遺言者の意思の実現
    相続人には、民法により取り分が定められた「法定相続分」が認められていますが、遺言書では法定相続分によらない遺産相続を実現することも可能です。

    生前に、介護などに尽力してくれた相続人に多くの財産を残したいという場合には、遺言書を作成することで、希望どおりの遺産を相続させることができます。また遺言書を作成すれば、相続人以外の第三者に遺産を遺贈することも可能です。

2、遺言書の内容に従わなくても良いケース

遺言書の内容に従わなくても良いケースとしては、以下のケースが挙げられます。

  1. (1)遺言の方式に不備があるケース

    遺言書は、民法により厳格な方式が定められています。この方式と異なった遺言書は、不備により無効になります。また署名・押印がない場合も原則として無効とみなされます。

    公正証書遺言であれば、公証人が関与して作成されますので、方式不備により無効になるリスクは少ないですが、自筆証書遺言は個人での作成が可能なため、方式不備により無効になる可能性が高くなります。

  2. (2)遺言能力のない状態で作成されたケース

    有効な遺言書を作成するためには、遺言者に遺言能力があることが必要です。遺言者が遺言作成当時、認知症が進行していて遺言内容を理解することができなかった場合には、遺言能力の欠如により、遺言が無効になります。

    なお、認知症だったとしても当然に遺言が無効になるわけではなく、認知症の程度を踏まえて有効性が判断されます。

  3. (3)遺言の内容が不明確であるケース

    遺言が法定の方式に従って作成されていたとしても、内容が不明確だと遺言内容に従って遺産を分けることができませんので、遺言が無効になります。

    たとえば、「預金は長男に遺す」と書かれていても、預貯金が複数の銀行に預けられていたり、「不動産は次男に」といっても家なのか土地なのか明らかでない、などのケースです。

    事情によっては遺言者の真意を解釈できるケースもありますが、不明確な遺言は争いのもとになりやすいため注意が必要です。

  4. (4)遺言の内容が公序良俗に違反しているケース

    遺言内容が公序良俗に違反するような内容であった場合には、遺言が無効になります。

    たとえば、不倫相手にすべての遺産を遺贈するような内容だった場合には、公序良俗違反による無効になる可能性があります。

  5. (5)遺言書が偽造されたケース

    遺言書が遺言者ではなく、遺言者以外の第三者により偽造されたものである場合には、法定の方式を満たしませんので、遺言書は無効になります。また、遺言書を偽造したのが相続人であった場合には、相続欠格事由に該当し、相続人としての権利を失います。

3、遺言書の内容を無効にしたいときにできること

遺言書の内容を無効にするためには、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)相続人全員の同意を得る

    被相続人による遺言書が残されていた場合には、基本的には、遺言書に従って遺産相続を行わなければなりません。しかし、相続人全員が遺言書と異なる遺産分割を行うことに同意しているのであれば、遺言書は絶対ではなく、遺産分割協議により遺産を分けることができます。

    そのため、遺言書に偽造の疑いがあったり、内容が不当と感じたりした場合には、相続人全員で話し合い合意を得ることで遺言書の内容を無効にすることができます。ただし、特定の相続人に有利な内容の遺言であった場合には、その相続人から同意を得るのは難しいといえます。

  2. (2)遺言無効確認調停

    相続人同士の話し合いでは、遺言を無効にすることについて同意が得られないときは、家庭裁判所に遺言無効確認調停の申立てを行います。

    遺言の有効性を争う手段には、遺言無効確認訴訟もありますが、訴訟提起をするためには、まずは、調停を経る必要があります(調停前置主義)。

    調停では、裁判所の調停委員が間に入り、相続人同士での合意の成立を模索しますが、あくまでも話し合いの手続きになりますので、誰か一人でも遺言書を無効にすることに反対している人がいれば、調停は不成立になります。

  3. (3)遺言無効確認訴訟

    遺言無効確認調停が不成立になった場合は、地方裁判所に遺言無効確認訴訟を提起します。

    遺言無効確認訴訟は、調停とは異なり、当事者の主張立証を踏まえて、裁判所が遺言書の有効性を判断することになります。そのため、遺言の無効を主張する場合には、遺言の無効原因を証拠に基づいて立証していかなければなりません。

4、遺産相続の問題を弁護士に相談するメリット

遺産相続の問題を弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  1. (1)遺言書の有効性を判断してもらえる

    遺言書が有効であるかを適正に判断するのは、一般の方には難しい場合もあります。

    遺言書が無効になるのは、「2、遺言書の内容に従わなくても良いケース」 で前述した通り、自筆証書遺言で方式を欠く場合や、認知症が進行した状態で作成していたなど複数のケースがあります

    そのため、遺言書の内容に納得ができないときは、すぐに遺産相続の手続きを進めるのではなく、まず弁護士に相談してみると良いでしょう。弁護士は、遺言書の有効性を正確に判断し、不利な遺産相続を回避するようサポートします。

  2. (2)話し合いや調停・訴訟により遺言書の有効性を争うことができる

    遺言書が無効である疑いがある場合には、まずは、相続人同士で話し合う必要があります。

    また相続人全員の話し合いの際には、無効原因があるということを法的観点から説明する必要があります。そのためにも、法的知識を持ち相続トラブルの解決実績がある弁護士に任せるのが安心です。

    また、相続人からの同意が得られない場合には、遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟の提起が必要になりますが、協議の段階で弁護士に依頼していれば、法的手続きへの移行もスムーズです。また裁判になれば無効原因を証拠に基づいて立証していかなければなりません。弁護士のアドバイスが証拠収集にも役立つでしょう。

5、まとめ

「遺言書は絶対か」というと必ずしもそうではありません。法で定められた方式を欠いていた場合や認知症で遺言能力がない状態で作成された場合には遺言書は無効になります。

遺言書の内容に納得できないという場合には、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。遺言書の有効性に疑問を抱いている方は、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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