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最低賃金法とは? 制度の概要や違反したときの罰則について解説

2023年01月11日
  • 一般企業法務
  • 最低賃金法
最低賃金法とは? 制度の概要や違反したときの罰則について解説

福島県庁が公開する「福島県の賃金、労働時間及び雇用の動き(令和3年平均)」によると、事業所規模5人以上の1人平均月間給与額において、調査産業計では令和3年の現金給与総額は対前年比で0.6%増、所定外労働時間は8.4%増でした。

都道府県および産業別の最低賃金は、最低賃金法に基づき定められています。経営者や事業主などの使用者は、労働者に対して、少なくとも最低賃金以上の金銭を支給しなければなりません。最低賃金法に違反すると、企業は罰則その他のリスクにさらされることになります。最低賃金法のルールを正しく理解して、確実な法の遵守に努めましょう。

今回は、最低賃金法の概要や違反したときの罰則・リスクなどについて、ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスの弁護士が解説します。

1、最低賃金法とは?

最低賃金法とは、経営者や事業主といった使用者が労働者に支払うべき賃金の最低額に関するルールを定めた法律です。労働基準法第28条の規定を受けて制定・施行されています。

  1. (1)最低賃金法の目的

    最低賃金制度の目的は、すべての労働者に最低限の賃金を保障することで労働条件を改善し、労働者の生活安定・労働力の質的向上・事業の公正な競争の確保を図って、国民経済の健全な発展に寄与することです(同法第1条)。

    使用者があまりにも低い賃金で労働者を酷使することを禁止するという考え方は、労働条件の最低ラインを定めて労働者を保護する労働基準法に通じています。

  2. (2)最低賃金を下回る賃金の定めは無効

    最低賃金を下回る賃金が定められた場合、その賃金規定は無効となり(最低賃金法第4条第2項)、自動的に最低賃金が適用されます。

    (例)
    • 最低賃金が858円(福島県)なのに、時給800円でアルバイトとして雇用された場合
      →自動的に時給858円に修正される
  3. (3)地域別最低賃金と特定最低賃金について

    最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。

    地域別最低賃金とは、都道府県ごとに定められている最低賃金です。当該都道府県内の事業所で働くすべての労働者に適用されます。
    特定最低賃金は、都道府県と業種ごとに定められている最低賃金です。当該都道府県内の事業所で働く労働者のうち、特定の業種に従事する労働者に適用されます。

    いずれも、中央最低賃金審議会または地方最低賃金審議会からの意見を聞きながら、厚生労働大臣または都道府県労働局長が決定しているものです。

    労働者に対して実際に適用される最低賃金額は、地域別最低賃金と特定最低賃金のうち、いずれか高い方となります。

    (例)
    • 福島県で自動車小売業に従事する労働者
      →地域別最低賃金が858円、自動車小売業に対する特定最低賃金が922円なので、特定最低賃金の922円が適用される
    • 東京都で鉄鋼業に従事する労働者
      →地域別最低賃金が1072円、特定最低賃金が871円なので、地域別最低賃金の1072円が適用される

2、最低賃金法の知っておくべき具体的なルール

最低賃金法について、企業担当者が知っておくべき基本的なルールをいくつか解説します。

  1. (1)最低賃金法は雇用形態等にかかわらず適用される

    最低賃金法は、雇用形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。したがって正社員だけでなく、パートやアルバイト、試用期間中の労働者などについても、最低賃金法の適用対象です。

    また、労働者に障害がある場合や、業務が非常に簡単な場合であっても、最低賃金法が適用されることに変わりはありません。

    会社としては、雇用するすべての労働者について、最低賃金法違反の状態が発生していないことを確実に確認してください。

  2. (2)最低賃金の判定に算入できない賃金

    実際に支給している賃金が最低賃金以上かどうかを判定する際には、算入できない賃金があります(最低賃金法第4条第3項、同法施行規則第1条)。

    <最低賃金の判定に算入できない賃金>
    • 臨時に支払われる賃金(賞与など)
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
    • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業代)
    • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日に働いた場合の賃金)
    • 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金(深夜労働手当)


    上記の算入できない賃金を除外した賃金の合計が最低賃金以上でなければ、最低賃金法違反です。

    特に、「賞与を合わせれば最低賃金以上」「残業代を合わせれば最低賃金以上」であっても、普段の賃金が最低賃金を下回っている場合は違法となる点にご注意ください。

  3. (3)事業所が複数の都道府県に存在する場合の取り扱い

    会社が複数の都道府県に事業所を有する場合、最低賃金は都道府県ごとに適用されます。

    たとえば、福島県と宮城県に事業所を有する場合、福島県内の事業所で働く労働者には福島県の最低賃金が、宮城県内の事業所で働く労働者には宮城県の最低賃金が適用されます。

3、最低賃金法に違反した場合の罰則・リスク

労働者に対して支払っている賃金が最低賃金を下回る場合、会社は刑事罰をはじめとして、さまざまなリスクを負うことになってしまいます。

  1. (1)最低賃金法違反に対して科される罰則

    地域別最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった場合、使用者には最低賃金法違反として、50万円以下の罰金が科されます(最低賃金法第40条)。また、海上で働くような船員について定められた特定最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった場合も同様です。

    一方、船員について定められたものを除き、特定最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった場合、使用者には労働基準法違反として、30万円以下の罰金が科されます(労働基準法第24条第1項、第120条第1号)。

    なお、会社の代表者や労働者などが最低賃金法や労働基準法の違反を犯した場合、会社に対しても同様の罰金刑が科される点にご注意ください(最低賃金法第42条、労働基準法第121条)。

  2. (2)労働基準監督署の行政指導を受ける

    刑事罰には至らなかったとしても、最低賃金法違反は労働基準監督署による行政指導の対象となります。

    労働基準監督署の行政指導を受けた場合、会社は指導にしたがって業務の是正を図らなければなりません。その際、是正対応にもマンパワーやコストが必要になるため、行政指導を受けること自体が大きなデメリットであることを認識すべきでしょう。

  3. (3)会社の評判に傷がつく

    最低賃金法違反で刑事罰や行政指導の対象になったことが知れ渡ると、会社の評判に傷がつくことは避けられません。

    場合によっては、不買運動によって売り上げ・業績が悪化したり、労働者の新規採用に悪影響が出たりするおそれもあります。特にSNSが普及している昨今においては、レピュテーションリスク(風評被害)に十分配慮したうえで、コンプライアンスを徹底することが大切です。

  4. (4)労働者の離職率が悪化する

    最低賃金を下回る賃金しか支払われない職場には、なかなか労働者が定着しにくいといえるでしょう。他の職場に行けば、少なくとも最低賃金以上の賃金が保障されるからです。

    労働者の離職率の悪化を防ぐためにも、労働基準法・最低賃金法の水準を最低限クリアしている労働環境や条件を提供する必要があります。

  5. (5)労働者から未払い賃金の請求を受ける

    最低賃金を下回る賃金を支給しているような場合は、最低賃金との差額について、労働者から未払い賃金の請求を受ける可能性があります。

    最低賃金法を根拠に未払い賃金の請求を受けたときは、会社としては支払いに応じるほかありません。それだけでなく、交渉・労働審判・訴訟などの対応にコストを要するため、当初から最低賃金以上の賃金を支払うべきことは明らかでしょう。

4、企業の法律問題については弁護士にご相談を

賃金など人事労務の問題を含めて、企業において発生する法律問題については、弁護士への相談をおすすめいたします。

弁護士は、会社にとってリスクの少ない方法を検討したうえで、迅速・穏便にトラブルの解決を目指します。また、トラブルが発生する前の段階から、会社が講ずるべき予防策についてアドバイスすることも可能です。

特に、いつでも法律問題について相談できる顧問弁護士と契約しておくと、コンプライアンス強化によって企業経営を安定させることにつながります。まだ顧問弁護士と契約していない企業は、この機会に弁護士との顧問契約もご検討ください。

5、まとめ

最低賃金は、都道府県および業種ごとに定められています。
最低賃金を下回る賃金しか支払わないと、労働基準監督署による刑事処分や行政指導の対象になるほか、レピュテーションの毀損や離職率の悪化、労働者による未払い賃金請求などのリスクを負うのでご注意ください。

人事労務に関するものを含めて、企業における法律問題を迅速・穏便に解決するには、顧問弁護士との契約をおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所は、各企業のニーズに応じてご利用いただける顧問弁護士サービスをご提供しております。
人事労務その他の法律問題につき、いつでも相談できる弁護士をお探しの企業経営者・担当者の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 郡山オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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